歯周病と糖尿病、相互に悪影響を与えるメカニズムとは?|福山市御幸町の歯医者「門井歯科医院」

お知らせ・ブログ

お知らせ・ブログ

歯周病と糖尿病、相互に悪影響を与えるメカニズムとは?

2025/09/26

ブログ

歯周病と糖尿病、相互に悪影響を与えるメカニズムとは?

歯科検診で「歯周病が進んでいます」と言われたとき、「口の中だけの問題」と考える人は少なくありません。
しかし、近年の研究で明らかになってきたのは、歯周病と全身の病気、特に糖尿病との深い関係です。

歯周病と糖尿病は“相互に悪影響を与え合う”ことが分かっており、この関係は「負のスパイラル」と呼ばれるほどです。
今回は、そのメカニズムを分かりやすく解説していきます。

1. 歯周病とは何か

歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨に炎症が起こり、少しずつ歯を失ってしまう病気です。

原因はプラーク(歯垢)の中の細菌で、放置すると歯ぐきが赤く腫れ、やがて歯を支える骨を溶かしてしまいます。
成人の約8割が程度の差はあれど歯周病を抱えていると言われるほど、日本では非常に身近な病気です。

一見「口の中の病気」に思えますが、炎症が続くと細菌や炎症物質が血流に乗って全身に広がるため、糖尿病をはじめとするさまざまな疾患に悪影響を及ぼすのです。

2. 糖尿病が歯周病を悪化させるメカニズム

糖尿病は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きが弱まり、高血糖状態が続く病気です。

血糖値が高い状態が続くと、血管がもろくなり、体の免疫機能も低下します。
その結果、細菌に対する抵抗力が落ち、歯周病菌に感染しやすくなるのです。

さらに高血糖は炎症を悪化させる物質を増やし、歯ぐきの炎症が強くなります。
加えて、血流が悪くなるため傷の治りが遅く、歯周病の治療効果が出にくいことも分かっています。

つまり糖尿病は「歯周病が進みやすく、治りにくい状態」をつくってしまうのです。

3. 歯周病が糖尿病を悪化させるメカニズム

一方で、歯周病も糖尿病を悪化させる要因になります。

歯周病による炎症が続くと、歯ぐきから炎症性サイトカインという物質が血液中に放出されます。
これらの物質は全身に回り、インスリンの働きを妨げてしまいます
その結果、血糖コントロールが難しくなり、糖尿病が悪化するのです。

実際に「歯周病を治療すると血糖値が改善する」ことが研究で示されています。
つまり、口の中の炎症が全身の代謝にまで影響しているのです。

歯周病と糖尿病は双方向に作用し合うため、どちらか一方を放置するともう一方も悪化するという関係にあります。

4. 負のスパイラルを断ち切るために

歯周病と糖尿病の関係を断ち切るためには、双方を同時にケアすることが欠かせません。

歯周病のケア
定期的な歯科検診やプロフェッショナルクリーニングで、炎症を起こす細菌を減らします。
毎日の歯磨きに加え、フロスや歯間ブラシを活用することも大切です。

糖尿病のコントロール
食事療法、運動習慣、薬の服用などで血糖値を安定させることが、歯周病の進行を抑えることにつながります。

医科と歯科の連携
最近では、内科と歯科が協力して治療にあたる取り組みも増えています。
糖尿病の患者さんが歯科を定期的に受診することが推奨されているのもそのためです。

「歯周病を治せば糖尿病も改善する」「糖尿病をコントロールすれば歯周病も治りやすくなる」
この好循環を作ることが、健康寿命を延ばすカギになります。

まとめ

歯周病と糖尿病は相互に悪影響を与える関係にあります。

•糖尿病は免疫力を下げ、歯周病を悪化させる

•歯周病は炎症物質を通じて血糖コントロールを妨げる

•双方向に作用し合うため「負のスパイラル」に陥りやすい

•同時にケアすることで好循環が生まれる

歯と体は決して切り離せない存在です。
歯周病を軽く見るのではなく、全身の健康を守る一歩としてケアしていくことが大切です。
==================================================
お口は健康の入り口です。
しっかりケアをして体も健康を維持しましょう。
門井歯科医院でした〜

この記事の著作者

グループ 1

医師 門井 一眞

2016年 九州歯科大学卒業
2016年 九州歯科大学附属病院 口腔内科 所属
2017年 茨城県某医療法人 勤務
2021年 門井歯科医勤務
患者さんにご自身のお口の中に興味を持っていただき、
一生守っていけるようサポートしていきます!
より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

一覧に戻る