宇宙飛行士はなぜ歯のケアが重要?宇宙と歯科医療の意外な関係|福山市御幸町の歯医者「門井歯科医院」

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宇宙飛行士はなぜ歯のケアが重要?宇宙と歯科医療の意外な関係

2025/12/10

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宇宙飛行士はなぜ歯のケアが重要?宇宙と歯科医療の意外な関係

宇宙飛行士というと、厳しい訓練や最新のテクノロジーを駆使したミッションが思い浮かびますよね。
でも実は、宇宙飛行士にとって「歯の健康」も非常に重要な条件のひとつなんです。

「宇宙で虫歯なんて関係あるの?」と思うかもしれませんが、歯のトラブルは宇宙では地球以上に深刻な問題になります。
今回は、宇宙飛行士と歯のケアの意外な関係について、分かりやすく紹介します。

宇宙で歯が痛くなると大問題

地上なら、歯が痛くなってもすぐに歯科医院に行けます。
ところが、宇宙ではそうはいきません。国際宇宙ステーション(ISS)では数か月単位の滞在が当たり前で、その間に地球へ戻ることはできません。

もしその間に歯が痛くなったら?
治療器具も限られ、無重力下での処置は非常に困難です。
たとえ小さな虫歯や歯ぐきの炎症であっても、痛みが強くなれば食事や睡眠に支障をきたし、任務の遂行が難しくなります。

NASAでは過去に、宇宙飛行中に歯の痛みを訴えた飛行士が鎮痛薬で耐えながら任務を続けたという記録もあります。
その経験から、「宇宙に行く前にお口の健康を完璧にしておくこと」が選抜条件のひとつとなりました。

宇宙飛行士の選抜に「歯の健康チェック」がある理由

宇宙飛行士の選抜試験では、体力やメンタルだけでなく、歯の状態も厳しくチェックされます。
虫歯、歯周病、治療途中の歯など、少しでもリスクがある場合はミッションへの参加が認められません

理由は単純です。
宇宙では「歯の痛みが命取りになる」可能性があるからです。
強い痛みや炎症が起こると集中力が低下し、判断ミスにつながります。
しかも、無重力下では血流や体液の流れが変わるため炎症が悪化しやすいことも分かっています。

また、宇宙空間では免疫力が低下しやすいことが知られています。
地上なら問題ない程度の歯ぐきの腫れでも、宇宙では重症化するリスクがあるため、事前にすべての治療を済ませ、口腔内を健康な状態にしておく必要があるのです。

宇宙で歯を磨くのはどうやるの?

宇宙飛行士は、もちろん毎日歯を磨きます。
でも地球と違って「水が浮いてしまう」無重力環境では、うがいも簡単ではありません。

ISSでは、歯ブラシと少量の水、そして特別な歯磨きペーストを使用します。
磨いたあとの泡は飲み込むか、ティッシュなどで拭き取るのが基本。
飲み込んでも安全なように設計された歯磨きペーストが使われています。

水を飛び散らせることができないため、泡や唾液の処理ひとつにも工夫が必要なのです。
地上では当たり前の「うがい」が、宇宙では一つの作業として慎重に行われています。

宇宙飛行士のための「歯科訓練」も存在する

NASAやJAXAの宇宙飛行士は、万が一に備えて「応急歯科処置」の訓練も受けています。
たとえば、歯が欠けた場合の一時的な封鎖や、痛み止めの投与、仮の詰め物の方法などです。

ISSには簡易的な歯科用具も搭載されていますが、本格的な治療を行うことはできません
そのため、歯にトラブルが起きないよう、予防を最優先にしているのです。

実際、宇宙飛行士の健康管理では「骨密度」や「筋肉量」と並んで、「歯と歯ぐきの状態」も非常に重要視されています。

宇宙開発がもたらす「歯科医療への応用」

実は、宇宙飛行士の健康管理技術は、地上の歯科医療にも役立っています。
たとえば、無重力でも使える小型機器の研究は、訪問歯科や災害時の医療機器開発に応用されています。

また、宇宙での遠隔医療システムは、離島や過疎地での歯科遠隔診療のモデルにもなっています。
宇宙という特殊な環境で培われた技術が、私たちの身近な医療にも還元されているのです。

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宇宙飛行士にとって、歯のケアは命を守るための重要なミッションです。
無重力下では治療が難しく、炎症が悪化しやすいため、虫歯や歯周病を完全に治してから宇宙へ行くことが必須条件となっています。

また、歯磨きの仕方ひとつ取っても、地上とは全く違う工夫が必要です。
宇宙での健康管理技術は、やがて私たちの歯科医療にも応用される可能性があります。

地球でも宇宙でも、「歯の健康がすべての活動の基盤になる」という点は同じです。
今日の歯磨きが、もしかすると未来の宇宙探査を支えているかもしれません。

門井歯科医院でした〜

この記事の著作者

グループ 1

医師 門井 一眞

2016年 九州歯科大学卒業
2016年 九州歯科大学附属病院 口腔内科 所属
2017年 茨城県某医療法人 勤務
2021年 門井歯科医勤務
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