「オーラルフレイル」と「フレイル」について|福山市御幸町の歯医者「門井歯科医院」

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「オーラルフレイル」と「フレイル」について

2023/11/08

ブログ

お口が弱ると身体も弱る 

本日はいい歯の日です。歯について学んでいきましょう。

前回は「口腔機能」が低下するとはどういうことか、そして、どうすれば改善できるのかなどをご紹介をしてきました。
今回は、何故口が弱ると困るのか、そしてそのことが全身とどのような関係があるのかを少し考えていきたいと思います。

フレイルってどんな状態?



テレビや雑誌などで「フレイル」という言葉を目にすることがあります。
「フレイル」とは英語のfrailtyのことで、日本語でいうと「虚弱」や「衰弱」に当たります。
まず、フレイルとはどのような状態のことをいうのでしょうか?
ヒトは、誰しも衰えます。
歳を取れば力が出なくなったり、身体も動かしにくくなったりします。
そして、そうした状態が重くなり、日常的な生活を営みにくくなると、他の人の力を借りなければならなくなります。
これが「要介護」という状態です。
「フレイル」はこうした「要介護」に至る前の状態であり、「健常」である状態から少し身体の機能が下がった状態を指します。

では、何故この「フレイル」という状態に注目が集っているのでしょうか?
それは、まだ「フレイル」の状態であれば適切な介入を受けることにより「健常」に戻ることができるという境目の段階であるからなのです。
「フレイル」は,主に全身の機能の低下を指します。
ポピュラーな評価基準を以下に示します。


・体重減少
日本人の体格であれば、1年間に2kg減ったら要注意

・疲労
最近,以前より疲れやすくなった

・筋力低下
買い物で2リットルのペットボトルを運ぶのが大変になった

・歩行速度の低下
青信号の間に横断歩道を渡りきれなくなった

・身体活動の低下
最近、趣味のサークルに出かけなくなった

上記の5つの項目のうち3つ以上該当するとフレイルが疑われます

フレイルとオーラルフレイル

〜全身とお口の関係〜


「フレイル」に関連して、「オーラルフレイル」という言葉もあります。
「オーラル」はoral で「ロ、口腔の」という意味です。
つまり「オーラルフレイル」は「口の虚弱、衰弱」という意味になります。
お口が弱った状態を「口腔機能の低下」と呼びます。
全身の衰弱である「フレイル」と、お口の衰弱である「オーラルフレイル」
実は両者には深い関係があります。
まず、フレイルがどのようにして起こるか説明していきます。


まず「栄養摂取量低下」というところから始めます。
何らかの事情で栄養摂取量が下がると(ご飯を食べる量が少なくなると)、それに続いて体重が減少してきます。
体重の減少は身体の脂肪だけではなく、筋肉量の低下からも引き起こされます。
この筋肉のうち、姿勢を保ったり、日常的な動きを行うものを抗重力筋といいますが、この筋肉が減ると日常的な動きがしにくくなり、結果として基礎代謝(生活するうえで必ず使うエネルギー)も減少します。
そうなると、次第に身体を動かすことも少なくなり、お腹も空かなくなるので、結果として食べる量も減ります。
ここで、最初の栄養摂取量の低下に戻ってきます。
これを図にして表したのが「フレイルサイクル」と呼びます。
これはつまり、栄養取量が減ると、体内のさまざまな機能が変え、さらなる栄養換取金の減少につながる、、、ということが繰り返されるということになります。


ここで注目しておきたいのが、栄養摂取量の低下は「口腔機能の低下によってもたらされる」という点です。
つまり、口が弱るとそれに従って食事が取れなくなり、そのことがフレイルをもたらし、さらにはフレイルサイクルを加速させる、、、という悪循環をもたらすのです。
また,全身の筋肉量の低下は口の筋肉量の低下にも関係しているために、オーラルフレイル、口腔機能の低下もひきおこします。
この口が弱るというのは,これまで述べてきた「口腔機能低下症」もそうですが、もう少し前の段階「些細な口の弱り」という段階もあります。
これが「オーラルフレイル」と呼ばれるものです。
つまり、口が少し弱った状態ともいえる状態です。

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オーラルフレイルと口腔機能低下症の関係


徴候から読み取れ


オーラルフレイルはさまざまな徴候から読み取れます。
たとえば,以下の質問事項にどう答えるでしょうか??


①食べ物の量や食べ物の種類を控えることがあった
②食事時間が長くなった
③歯や入れ歯の調子が悪くないのに噛むのが困難になった
④思いどおりにしゃべることが困難だ
⑤最近体重が減った
⑥缶やペットボトルの蓋が開けにくい
⑦歩くのが遅くなった


日常的な食事やお口がかかわる状況で問題が出てくると、お口が弱っている゠オーラルフレイルのなかにいる、ということになります。
オーラルフレイルという状況がさらに進むと、口腔機能低下症になるという関係があります。

口腔機能低下症は「疾患」として治療できますが、オーラルフレイルは些細な「兆候」として、これもまた訓練によって回復することができます。

オーラルフレイルと口腔機能の低下を予防する →フレイル、口腔機能低下症を防ぐ


オーラルフレイル、口腔機能低下症、フレイル、そして要介護状態の関係や流れを以下に整理します。

ささいなお口の弱り(オーラルフレイル)が全身の状態に影響し、最終的には不可逆的な(元には戻らない)要介護や寝たきりの状態につながっていくのです。
逆をいえば、ささいなお口の弱りの段階で食い止めることで、あるいはオーラルフレイルや口腔機能低下症を治すことで、全身状態の悪化を止めることができるのです。


お口が弱る原因とは?


では口が弱り、オーラルフレイルや口腔機能低下症となる原因について取り上げます。
これまでご紹介してきた各症状が引き起こされるには、さまざまな原因があります。
もし心当たりがあれば、お口に何かしらの症状が出ているかもしれません。
ご家族や周りの方にも気を配ってみてください。


①加齢

歳を取ると、全身の筋肉が少なくなってききす。
もちろん、お口の筋肉も弱まります。
つまり、歳を取ってくるだけで、オーラルフレイルに近づくということになるのです。
もちろん、毎日の活動や日ごろの食生活により、オーラルフレイルにならないという方もいます。
ただし、加齢によってオーラルフレイルに近づくということは理解をしておいてください。


②病気の影響

脳血管系の疾患(脳卒中,脳梗塞など)の後遺症により、麻事が生じることがあります。
また、神経・筋疾患などの影響によっても身体の機能に麻痺や不自由が生じることがあります。
麻痺は身体だけでなく口のなかにも現れます。口の感覚が鈍り、動きも悪くなるのでプラークコントロールがかなり難しくなります。
なによりも上手に噛むことができなくなり、結果として食事がうまく摂れず、オーラルフレイルからフレイルのサイクルに落ち込むことになります。


③放置されたお口

歯が痛いのに我慢していてうまく噛めない。
大きなむし歯を放置している。
壊れた入れ歯を使い続けていて固いものが食べられない。
最近,入れ歯が合わなくなってきているがそのまま使っている。
歯科医院でできる治療や,入れ歯の調整などがうまくいっていないと適切な食生活を送れなくなります。
こうした場合、まず歯をしっかりと治療したり、入れ歯がちゃんと口のなかに収まるよう修理の手を加えたりすることがあります。
歯のことで気になることがあれば、まずは歯科医院で相談してみて下さい。


④薬の影響

生活習慣病やさまざま病気の治療のために処方されている薬剤のなかには、唾液の分泌を下げる場合があります。
こうした薬剤を服用している場合、どうしても口腔乾燥が起こりがちになります。
薬剤によっては違う種類のものに変更することもできます。
まずは,歯科医師や主治医の医師に相談してみるとよいでしょう。
なかには、口の動きを悪くしてしまう薬剤もあったりします。


⑤認知症

認知症の患者さんにおいては、食事がうまく摂れなかったり、歯磨きやうがいができなくなっている場合があります。
認知症の患者さんは自分が認知症と気づいていない場合があります。
ご家族や、関係者、あるいは日ごろ通っている医療機関や施設などさまざまな場所や人がそれぞれの形で認知症に気づきます。
とくに歯科医院は患者さんにもっとも身近な医療機関の一つです。
歯科医院に相談することが認知症発見のきっかけとなったり、認知症発見後の適切な対応の第一歩になります。


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どうでしょうか?
3回に分けてブログにてオーラルフレイルについて説明していきました。

文字ばかりで分かりにくいこともあるとは思いますが、気になることがあれば気軽にご相談ください。

毎日を楽しく
門井歯科医院でした〜

この記事の著作者

グループ 1

医師 門井 一眞

2016年 九州歯科大学卒業
2016年 九州歯科大学附属病院 口腔内科 所属
2017年 茨城県某医療法人 勤務
2021年 門井歯科医勤務
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